特集 ノロウイルス―ウイルス性下痢症
その他のウイルス性下痢症の集団発生事例
3.サポウイルス感染症
岡田 峰幸
1
,
篠崎 邦子
1
1千葉県衛生研究所ウイルス研究室
pp.998-1000
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101206
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サポウイルスとは
サポウイルス(Sapovirus)は主として小児の急性胃腸炎の原因ウイルスのひとつで,ノロウイルスと同じカリシウイルス科に属する.1977年札幌の児童福祉施設における胃腸炎の集団発生において初めて報告され,サッポロウイルスと名付けられた1).電子顕微鏡でウイルス粒子の表面に「ダビデの星(Star of David)」様の構造を見ることが形態学上の特徴である(図).ヒト古典的カリシウイルス,サッポロウイルス様ウイルスと呼ばれたが,2002年国際ウイルス命名委員会で正式に「サポウイルス」(属名)と命名された.
サポウイルスには現在,遺伝子学的に5つの遺伝子群(Genogroup I~V)の存在が知られている2).そのうちヒトから検出されるものは4つの遺伝子群(GI,GII,GIV,GV)である.残りの1遺伝子群(GIII)はブタ腸管カリシウイルス(Porcine enteric calicivirus)に代表される,ブタ由来のウイルス群である.また,遺伝子群GIおよびGIIには,それぞれ複数の遺伝子型の存在が報告されている3).わが国においては,ヒトに由来する4遺伝子群すべてが検出されているが,GIが最も多く,次いでGIIが多く,GIVとGVの検出は稀である4).
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