連載 保健予防事業のアウトソーシング最前線・7
特定健診・保健指導の義務化と民間事業者の活用
山本 英紀
1
1厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室
pp.784-788
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101156
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生活習慣病の現状と医療制度改革
日本人の生活習慣の変化や高齢者の増加等により,近年,糖尿病等の生活習慣病の有病者・予備群が増加してきています.例えば,糖尿病の有病者は約740万人,予備群は約880万人であり,5年間で約1.2倍の増加を示しているとともに,脳卒中による死亡者数は年間約13万人,心筋梗塞による死亡者数は年間約5万人にも上ると推計されています.これらの生活習慣病の増加や高齢者の増加に伴い,近年,国民医療費が増えてきていることが問題となっており,脳卒中,心筋梗塞の発症数や,糖尿病による人工透析の導入数の増加は,医療費の増加に大きく寄与していると考えられています.
国民一人ひとりが,バランスの取れた食生活,適度な運動習慣を身につけることにより,生活習慣病は予防可能であることから,国民皆保険制度を存続可能なものとするために行われた医療制度改革において,生活習慣病対策の推進が大きな柱の1つとされました.具体的な対策としては,高齢者の医療の確保に関する法律に基づき,平成20年4月から,医療保険者に,40~74歳の被保険者に対する特定健診・保健指導が義務づけられることとなりました.医療保険者自身が,特定健診・保健指導を実施することは,困難な場合が多いことから,その実施を外部機関に委託することが考えられています.
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