特集 性差医療から考える―患者の望む医療とは?
性差医療における医療従事者教育の課題
松田 昌子
1
1山口大学大学院医学系研究科保健学系学域
pp.749-753
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101143
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人は遺伝子を介して受け継いだ性質や育った環境によってそれぞれ異なる性質を持つ.今日の医療では,そのような一人ひとりの性質に合わせて行う個別医療が,より的確な予防や診断・治療を可能にするということで推奨されている.しかし,男女の違いである性差は個人差を考える上で,第一段階のものであるにもかかわらず,生殖器以外の臓器に関する性差に対して注意が払われることは少なかった.
形態的にも機能的にも,そしてそれが異常をきたした疾患においても明らかに性差がある.その違いを明らかにし,それに基づいて行う医療が性差医療である.すなわち,性差を考慮することはより良い医療を行うための大切な要素であり,医療従事者の教育の中に性差を考慮する視点を加えることは,年齢を考慮することと同様に必要不可欠なことと考えられる.
わが国でも性差医学・医療への認識は徐々に高まり,専門学会でも性差をテーマにした演題も散見されるようになった.しかし,それらの知見が医療現場へフィードバックされるほど医療従事者には普及していない.本稿では,性差医療を普及させるための方策についてこれまでの経緯,医療従事者の教育,女性医師の役割を中心に述べていきたい.
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