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最近の動向
性差医学・医療は米国から始まり,現在も米国が世界の研究をリードしている.1990年にNational Institute of Health(NIH)内にThe Office of Research on Women's Health(ORWH)が開設され,ORWHはNIHにおける女性の健康に関する研究拠点として確立された.研究に関するAgendaは1991年,1999年に続いて,2010年に 「Moving into the Future With New Dimensions and Strategies:A vision for 2020 for Women's Health Research」が発表されている1).過去20年,米国政府は心血管疾患の減少のためにあらゆる手立てをとってきた.ことに,NIHが関与する臨床研究への女性の参入,女性の健康や性差をターゲットとした研究をおしすすめた.
女性の健康,性差研究を研究する研究者の育成も始まった.1999年に立ち上がったBuilding interdisciplinary Research Careers in Women's Health(BIRCWH)は,この分野で学際的研究者となることを目指しているjunior researcherの教育を担当しており,2010年までに,約400名のjunior researcherを支援した.2002年に立ち上げられたinterdisciplinary Specialized Centers of Research(SCORs)on Sex and Gender Factors Affecting Women's Healthは,全米11の研究拠点で,basic, translational, clinicalの3つの研究分野の研究者による学際的共同研究を展開している.さらに,2007年に立ち上げられたAdvancing Novel Science in Women's Health Research(ANSWHR)は,がん,薬物・アルコール依存,心疾患,免疫疾患,感染症,精神疾患,疼痛障害,呼吸器疾患,肥満などの代謝疾患,産科・婦人科領域の疾患における性差医学分野で新しい発想の学際的研究を目指す研究者を支援するもので,特に予防医学に重きを置いている.
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