活動レポート
忍び寄る麻疹ブレイク―保健所における成人麻疹集団発生の経験
中村 礼子
1
,
谷村 睦美
1
,
中村 辰美
1
,
川島 ひろ子
1
1石川県石川中央保健福祉センター
pp.955-959
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100992
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近年成人麻疹の集団発生が報告されるようになり,地域での新たな対応が必要となってきている.平成15年春から夏にかけて,当管内のK大学(学生数7,468名,教員数533名)において64名の集団発生を経験したので,本稿では当所の活動を中心に述べてみたい.
K大学麻疹集団発生の経過(図1)
1. 高校生の間で麻疹が流行
石川県では,例年とは異なり,今年4月中旬から高校生の麻疹報告の増加が,県の麻疹迅速把握事業(図2)で確認された.各保健所は管内の患者発生校および地域に対して,感染拡大防止のための働きかけを行った.そして,所長がメンバーである地域および全国の小児科医を中心とする2つのメーリングリストの情報から,石川県の流行と,春休み(4月上旬)にN県で行われた高校剣道大会との関連が示唆され,直ちに県の健康推進課から県教育委員会に申し入れ,大会出場各校に対して流行拡大の実態調査および予防接種勧奨等の感染拡大防止策がとられた.同じ頃,N県高校剣道大会に端を発すると思われる麻疹集団発生がいくつかの県で報告されている.さらに5月中旬,N県の大会に出場していない高校の剣道部からも麻疹発生報告が相次いだ.この流行は4月中旬の患者から,4月29日の県内高校生剣道大会によって感染が拡がったためであったことが後に確認された.
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