特集 検証「SARS」
―自治体の対応②―シミュレーションから考える保健所・自治体における感染症危機管理対策
中瀬 克己
1
1岡山市保健所
pp.839-843
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100963
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SARSが今冬に再び流行するという想定での対策が求められている.今年5月の台湾人医師の事例はわれわれに大きな経験を残したが,幸いにも新たな感染者は確認されなかった.今後最も重要な対策は,患者を想定した,感染の早期発見・治療と拡大防止であり,その備えである.
今回のSARS感染における伝播の場は医療機関であり,感染者は医療従事者であった.これは,医療の整ったカナダでも,台湾・香港でも,そして中国における当初の伝播でも共通している.医療の場での早期発見・治療と伝播防止への備えこそが,患者に対する医療の提供を確保し,ひいては市民の早期受診を促すことで,SARS拡大をコントロールする基礎となる.
医療機関における医療従事者への伝播を想定して,本稿では以下のシミュレーションを通じて対策を考えてみたい.
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