特集 検証「SARS」
―自治体の対応③―東京都のSARS対策―取り組み・診療ネットワーク・今後の対策
杉下 由行
1
1東京都健康局医療サービス部感染症対策課
pp.844-848
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100964
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制定以来100年が経過した「伝染病予防法」は,感染症を取り巻く状況が大きく変化したことから抜本的な見直しが行われ,1999年4月,感染症の発生・拡大への対応,人権尊重への配慮等を骨子とする「感染症法」が施行された.これに伴って,東京都(健康局)では「感染症予防計画」(1999年6月)を策定し,感染症の発生・拡大防止,感染症医療体制の確保,感染症に関する研究の推進,地域の実情に即した感染症予防を推進しているところである.
感染症は健康危機管理の観点からも,発生予防と蔓延の防止に重点を置いた,事前対応型の体制の構築が重要である.具体的には,発生に備えた迅速かつ的確な情報収集,適切な予防・治療体制および大規模感染症の発生などに対応する体制を確立することが挙げられる.
東京都(健康局)では,感染症の健康危機に対応できる体制作りを進めており,今回の重症急性呼吸器症候群(以下SARS)対策においても,事前対応型の体制として診療ネットワークを構築し,体制整備を行った.本稿では,東京都の取り組み,課題,診療ネットワーク,医療体制の強化,そして今後の対策について報告する.
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