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恋愛と結婚について—看護婦という職業
大段 智亮
pp.66-71
発行日 1957年7月15日
Published Date 1957/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910397
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まだ年若い未婚の人の多い看護婦さん達の最大の関心事は,何といつてもやはり恋愛や結婚の問題ではないかと思います。よき愛人,よき配偶者を得て,その人と共に温かい自分達の家庭をつくり,やがて母親となることこそ,先ず一般の善良なる若き女性の願いでしよう。特別な例外を除けば,看護婦さん達にとつても,これは全く同じことだと考えて差支えないことと思います。
ところが,ここに,極めて大きな問題が存在します。愛人を求め,配偶者を求める年頃の男女が,相互に相手の人間を人格的に理解し合えるような交際の機会や場所が,吾々の社会では,ごく少く狭いということです。戦後,学制改革によつて,高校も大学も男女共学になつたほか,いろいろの職場における女性の進出とか,男女同権の思想の高唱とかのお蔭で,民主主義日本は,戦前の日本程男女交際が窮屈ではなくなりました。しかし,交際は自由だといつても,その交際の機会を与えたり,始まつた交際を持続させ深めるような場所は,以前にくらべてそれ程急に多くなつたとはいいかねるという現状ではないかと思います。
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