特集 公衆衛生とプライマリ・ケア
プライマリ・ケア医と公衆衛生医の連携のあり方
石橋 幸滋
1,2
1石橋クリニック
2東久留米医師会
pp.588-591
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100922
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世間は重症急性呼吸器症候群(SARS)で大騒ぎをしているが(2003年5月13日現在),その影響は人命だけでなく,海外旅行や経済貿易活動など様々な分野に及んでいる.医療の分野では,SARS治療に世界中の医学者が全力で取り組んでいるし,行政や地域医療機関は,いかに発症や蔓延を予防すべきか,もし患者が発生した場合にどう対処すべきかなど対策に大わらわであり,今,まさにプライマリ・ケア医と公衆衛生医の連携が不可欠な状況にある.
時代を紐とけば,結核感染が蔓延していた頃,公衆衛生医は生き生きと地域の開業医と連携しながら,結核撲滅に奔走していた1).このように感染症予防は,最もプライマリ・ケア医と公衆衛生医が連携すべき活動分野のひとつである.しかし,結核その他の感染症が抗生物質の登場で死亡原因の上位から徐々に姿を消し,生活習慣病が医療の中心となってきたのと時を同じくして,公衆衛生医は予防,プライマリ・ケア医は治療,という役割分担が明確になり,お互いの活動がわからなくなってしまった.これに,開業医が持つ衛生行政への不信感や無理解などが相まって,公衆衛生医とプライマリ・ケア医との連携が十分に行われていない現状となっている.
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