資料
保健医療計画策定の現状と課題について
松田 晋哉
1
1産業医科大学医学部公衆衛生学
pp.237-244
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100837
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現在,各自治体では「健康日本21」の市町村計画の策定が行われている.これからの少子高齢社会において活力を維持するために,国民の健康水準の維持・向上は重要な課題である.特に今後高齢化に伴い社会保障支出が増大していくことを考えると,高齢者の健康水準を維持・向上することは,医療保険財政および介護保険財政を安定化するためにも重要である.また,少子高齢社会においては,高齢者は貴重な労働力であり,高齢者が希望する限りにおいてそれまでに習得した経験や技術を活かしながら,雇用され続ける仕組みを作ることも必要である.これまでの高齢者労働の調査結果によると,高齢者が職を持ち続けることができる条件として,専門的な知識・技術とともに健康であることが挙げられている1).したがって,高齢者の社会参加の継続が可能になるためにも,健康政策の推進が重要なのである.また,働き続ける高齢者が増加することは,年金財政の健全化にも貢献するであろう.すなわち,「健康日本21」の推進は国民のQOLの向上のみならず,社会保障財政の健全化の視点からも重要な事業であると考えられる.
しかしながら,わが国におけるこれまでの保健に関連した計画策定およびその展開のあり方を前提としたとき,「健康日本21」の地方計画は,果たして,政府の目的どおりの効果を上げ得るのであろうか.
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