特集 地域医療のトピック―「救急医療」を考えよう
救急医療の教育研修
小井土 雄一
1
,
川井 真
1
,
横田 裕行
1
,
山本 保博
1
1日本医科大学救急医学
pp.546-548
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100761
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平成16年度より「新たな医師臨床研修医制度」が始まった.その目的は専門に特化した臨床研修から,プライマリ・ケアを中心に幅広い診療能力を身につける研修へと変更することである.現代の医療は専門分化が著しく進んだ弊害として,医師と患者のコミュニケーションが希薄であり,社会が求める全人的な幅広い診療とかけ離れたものになっているという指摘があり,今回の新しい研修理念は「医師としての人格をかん養し,将来専門とする分野にかかわらず,医学および医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ,一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう,プライマリ・ケアの基本的な診療能力(態度・技能・知識)を身につける」となった.
そのような中で救急医療は必修化された訳であるが,救急医療は医の原点であり,かつ,すべての国民が生命保持の最終的な拠り所としている根元的な医療であり,新医師臨床研修制度において必修科目に位置づけられたのは当然である.救急医療の研修が必修化されたことは,いずれの科の臨床家になるにしても非常に有意義であることは言うまでもない.しかしながら,毎年8,000人の新研修医に質の高い救急医療研修を提供できるかということに関しては,多くの問題があると言わざるを得ない.
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