特集 救急医療計画
医学教育における救急医療
織畑 秀夫
1,2
Hideo ORIHATA
1,2
1東京女子医科大学外科学
2東京女子医科大学救急医療センター
pp.847-850
発行日 1980年12月15日
Published Date 1980/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206206
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■はじめに
救急医療が医療の原点であるということは,生命を重視することが医学の原点であることと同じ意味をもっている.しかし,現実の社会においては救急医療とは,1人の生命を最高に重んずるところから発生する実体といえる.この事実は,医療を実践する医師によって行なわれることではあるが,同時にそれを支援する社会一般の人々の実践によっても左右されるものである.
あまり遠くない昔,奇形の子供が生まれると,産院の部屋の隅に寝かされたままで,自然消滅を待ったという語り伝えは,決して嘘とは思えない.このような社会の中では,医師の立場は甚しく苦しいものである.しかし,止むを得ず,子供のためでなく,父母・祖父母・親戚のためにそれを行なう医師がいたわけである.
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