特集 クスリと公衆衛生
相談内容から見えるクスリの問題
辻本 好子
1
1NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
pp.935-938
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100694
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患者は医療の何に悩んでいるか?
相談から聞こえてくる患者の医療に対する基本的なニーズは,「安全・安心・納得」の3つです.医療ミスや事故に遭いたくない.薬の問題でいえば副作用はもちろん,処方ミスや調剤ミスにも遭いたくはないのです.そして,究極の願いは「この医療者との出逢いがあったから安心できた」「納得できた」と思える医療との出会いです.つまり,「どのように向き合ってくれたのか」が重要なポイントになるのです.
2005年の1年間に届いた相談内容の傾向を調べると,最も多かったのは「ドクターへの苦情」で,23.8%です.「その他の医療者への苦情」が4.0%,「ナースへの苦情」が3.6%ということから考えると,苦情の多くは圧倒的にドクターということになります(ちなみに「その他の医療者」は薬剤師と医療事務がほとんどです).しかし,これは患者の視線や期待がいまだドクターにしか向けられていないためではないかと思います.つまり,他の医療者の専門性を患者が理解できていなかったり,チーム医療が明確に構築されていなかったりするために,結局患者はドクターに期待するしかないのです.
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