連載 21世紀の主役たち・3
ゴビのラクダと子どもたち(モンゴル・ゴビ)
関野 吉晴
1
1武蔵野美術大学
pp.417
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100585
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モンゴルのゴビをフタコブラクダに揺られながら旅をしているとき,年に一度ラクダレースが行われる村を通った.ウマのレースと同じように,ラクダレースに勝つことは家の名誉になる.だから親たちも熱が入る.ラクダを子ども自身で選ぶこともあるが,親が選ぶことも多い.
ラクダを速く走らせるために,レースまでの10日間絶食にする.ラクダは腹が満たされていると走らないのだ.1時間目の授業が終わると,子どもたちがラクダに走った.寄宿舎にいる子以外はほとんどラクダで通学してきている.およそ30頭のラクダに子どもたちが騎乗して移動すると壮観だ.今日の距離は3km,10分ほどで駆け抜けるだろうという.子どもたちは下見がてら,スタート地点に向かってラクダを歩かす.大人たちもゴール地点に集まってきた.日本で言えば運動会のようなものだ.子どもたちの活躍ぶりを,他の親たちと一緒ににぎやかに見守る.スタート地点には校長が案内する.
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