ついである記・39
モンゴルの大草原を駆る
山室 隆夫
1,2
1京都大学
2国際整形災害外科学会
pp.1256-1257
発行日 1999年10月25日
Published Date 1999/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408902828
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●数千年昔の祖先の血が騒ぐ
私達黄色人種は大分類ではmongoloidと呼ばれて黒人や白人と区別されているが,特に中国大陸や極東に住んでいる人々の中には幼少時にお尻に蒙古斑と呼ばれる青い痣をもった人が多い.私自身は,その上に顔貌が蒙古人とそっくりであるので,私の遠い祖先は恐らく数千年も昔に蒙古地方から満州,朝鮮を経て日本列島へ移動してきたのではなかろうかと思っている.人は歳を取るにつれて自分のルーツを探し求めるようになるといわれるが,私もモンゴル整形外科学会から講演の依頼があったのを機に,遙かなる自分の祖先が発祥したと思われる蒙古の地を一目見てみたいと思い,神戸中央市民病院の田村清副院長を誘って1999年7月に初めてモンゴルへ旅をした.
モンゴルの空の玄関であるボヤント・オハー国際空港からウランバートルの町まで車で40分,初めてモンゴルの大草原の中を車で走った時,私は何か体の底から徐々にうずき上ってくるような不思議な感動を覚えていた.そして,間もなく学会長のブディー女史ら数人とレストランで夕食を共にしたのだが,通訳の女性も店員も誰もかもが初対面の人達とは思えないような一種の懐しさを私に強く感じさせるのだった.勿論,私はモンゴル語の一言も判らないにも拘らず,この人達とは以前に何処かで喋ったような気がしてならなかった.
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