資料
「高齢者」呼称の世代間差異に関する調査
勝亦 百合子
1
,
新井 明日奈
1
,
紺野 圭太
1
,
玉城 英彦
1
1北海道大学大学院医学研究科社会医学専攻予防医学講座老年保健医学分野
pp.578-582
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100435
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日本語で「高年齢に達した人」を表わす言葉は,表1に示すように40個以上もある1~4).男の老人を表す「翁(おう・おきな)」,女の老人を表す「嫗・媼(おうな)」から有吉佐和子氏の小説で流行した「恍惚の人」,その他「長老」「年寄り」「高齢者」など多岐にわたる.それぞれ,老いを客観的にとらえたもの,単に時間の長さを表したもの,老いを敬っているもの,老いを軽視したものなど,様々な意味合いが込められて使われている.最近ではほとんど使われない言葉も数多い.一方では,時代を反映した新しい造語や流行語も日常に使われるようになって,「高年齢に達した人」を意味する日本語の数は増える傾向にある5,6).
それでは,「高年齢に達した人」を果たして何と呼ぶのが適切だろうか.昭和38年に制定された「老人福祉法」や昭和57年に制定された「老人保健法」といった一昔前に制定された法には,「老人」という言葉が使用されている.それに対して近年制定された法である「高齢者,身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)」(平成6年制定)や「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(平成13年制定)には「老人」に代わり「高齢者」という言葉が使用されている.これは,「老」という字のネガティブなイメージに対する配慮と言えるだろうが,「老」という字は元来どのような意味合いを持っているのだろうか.
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