特集 公衆衛生の構造改革
保健行政組織の見直し
高鳥毛 敏雄
1
1大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学
pp.19-22
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100334
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19世紀の産業化,都市化の中で,社会の中の個人の努力だけで克服できない深刻な健康問題に対処するために,公衆衛生制度が誕生した.現在は社会生活の中で死の不安が遠のき,「地域住民の健康の保持及び増進」(地域保健法,健康増進法)が保健行政の目標になっている.また地方分権推進法が施行され地方自治体の役割が大きくなり,健康問題は自治体固有の行政課題になっている.都道府県,指定都市の多くで,保健所組織は,生活福祉行政と保健行政の整合性を図るとの意図から地方行政組織に統合され,地方自治体行政の保健福祉の対人サービス行政効率は高くなっている.しかし,市に移管される保健所が多くなるにつれ,保健所は自治体の固有性が大きくなり,わかりにくい組織になりつつある.
一方,近年社会から期待されるようになってきた感染症,健康の危機管理対策などの公衆衛生的課題に対しては,問題発生時に迅速な判断と対応,さらに周辺自治体との統一的な対応,さらに危機管理行政である警察組織や消防組織との連携を図ることが求められ,わかりやすい組織であることが必要となっている.
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