特集 原子力を理解するために
原子力医学
山下 久雄
1
1慶応義塾大学医学部
pp.29-34
発行日 1957年11月15日
Published Date 1957/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910476
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はしがき
原子とはすべての物体を構成する要素で非常に小さいもので,1gの中に何億個もあるものであるが,その所有するエネルギーは実に強力である。原子が放つエネルギーが放射線であるが,細菌その他のすべての生物を死滅せしむるだけの放射線量は約百万レントゲン*である。それを熱量に換算すると2カロリーにしか過ぎない。そのように,熱くも何ともない原子力エネルギーが強力な生物学的作用を呈するのであつて,それを有効に利用することが凡ゆる方面に考えられているが,医学上に於ける利用法も既に広範のものとなり,素晴しい成果を治めつつある。即ち医師と看護婦とでなすべき仕事が,原子応用の分野に於ても広大な領域にわたつてあるわけである。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.