最近の医療事故,医療裁判から考えさせらたこと
医療の質と患者安全推進の視点から
安田 信彦
1
1学校法人慈恵大学 経営管理研究室
pp.198
発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100039
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最近の医療事故,医療裁判から考えさせられることがある。
われわれ医療者は患者の治療に一生懸命になるために,検査の有用性や治療の効果に注目する。苦しんでいる患者の苦痛を和らげられるならば,可能なかぎりの手段を用いる。しかし,有用な検査や効果のある治療法であっても,実施にあたっては危険性や副作用にも配慮しなければならない。つまり,有用性とリスクを比較して診断・治療の方針を決めていく。
患者への説明にあたり,有用性のみを強調して進めるのは片手落ちである一方で,リスクを強調しすぎて患者に不要な恐怖を抱かせるのも好ましくない。最良だと考えた検査や治療方法の科学的根拠が証明されていれば,危険性がある程度大きくても,効果が確実に期待できるなら自信をもってその方法を薦めることができる。たとえ副作用が現れても,事前に適切な説明を行って患者の同意を得ていれば,適用判断については,専門領域の同僚の多くから批判はされなく,また患者も納得しやすいだろう。
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