特集 「健康格差社会」とセーフティネット
増え続けるHIV感染症とその対策―臨床現場の現状から
白阪 琢磨
1
1独立行政法人国立病院機構大阪医療センターHIV/AIDS先端医療開発センター
pp.101-105
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100235
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世界の多くの国々でエイズ(Acquired Immunodeficiency Syndrome:AIDS,後天性免疫不全症候群)は「感染症」としての対策がとられてきた.1981年にアメリカで報告されたエイズは,1983年に病原体としてHIV(Human Immunodeficiency Virus)が分離同定され,HIV感染症と呼ばれるようになった.HIVは宿主の免疫機能を進行性に障害し,その結果,免疫不全に陥り,定められた23の指標疾患の1つ以上が出現すると「エイズ」と診断される.エイズはHIV感染症の進んだ病期である.感染経路は大きく血液媒介,性行為,母子感染である.いずれも人間の行動に深くかかわっている.
わが国のエイズ対策については,HIV混入血液製剤によるHIV感染被害,いわゆる薬害HIV訴訟と和解に基づき,国が施策を実施してきた経緯がある.しかし,現在増えているのは性感染症としてのエイズであり,薬害ではない.では,新たなエイズ対策を性感染症対策の一環として考えればいいのであろうか?
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