視点
堺市医師会と公衆衛生
樋上 忍
1
1堺市医師会
pp.346-347
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100084
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堺市は大阪市と大和川を隔てて南に位置し,大阪府では概ね真中にあり,近々政令指定都市への移行を目指している.
本市において,平成8(1996)年7月,腸管出血性大腸菌O157による学童集団下痢症が発生し,二次感染を含め,患者数は9,492名に達した.この学童集団下痢症に罹患した児童の約1.4%に当たる133名に溶血性尿毒症症候群(以下HUS)が発症した.そのうち,不幸にも3名の女児が犠牲になった.また二次感染等でその家族を含めて約1,500名が感染し,この感染者から20名のHUSが発症した.本稿ではその対応について述べると共に,フォローアップについて言及する.さらに,平成12年6月,M総合病院にてセラチア菌による院内感染が発症し,免疫力の低下した高齢者,がん患者の3名が犠牲になった.
このような状況下で,堺市内の44病院で構成する堺市医師会病院部会に「院内感染防止対策委員会ネットワーク」を立ち上げ,主なる病院における院内感染防止策について報告し,互いに評価し合うディスカッションを行ってきたので詳述する.
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