資料
地域住民を対象にした代替療法の実態に関する調査研究
加納 克己
1
,
山田 真弓
2
,
藤田 比左子
3
,
林原 好美
2
1筑波大学社会医学系
2筑波大学医科学研究科
3筑波大学人間総合科学研究科
pp.249-252
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100057
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わが国ではかつてないほど,健康に対しての関心が高い.経済的に豊かになり,健康を個人の価値体系の中で上位に置く人が非常に多い.疾病構造は他の先進国と同様であり,がんや循環器疾患,糖尿病,肝臓病などが非常に多い.これらの疾患は今日の西洋医学をもってしても,完全に治すことは難しい.このような現実があってか,わが国と同様の疾病構造である米国では,大衆の40%以上が何らかの代替療法を受けていると言われている1).程度の差こそあれ,わが国でも同様であると推測される2).
多くの患者や一般大衆が代替療法を受けたり,自ら実行していると言われる.いわゆる西洋医学が医療の場で,その力を十分発揮していることは言うまでもないが,少なくとも,わが国では代替療法で何が正しく,何が疑わしいかについてはほとんど検討されていない.科学的研究はほとんどなく,エビデンス(根拠)について十分検討されていない.
生活習慣と疾病や健康に関連した調査研究3)は数多くなされているが,代替療法の実態に関する研究はほとんどないと言ってよい.そこで,本研究はわが国における代替療法の実態を把握し,なぜ代替療法に頼るのか,その理由などを明らかにすることを目的とする.
なお,本研究の題目で代替医療(alternative medicine)と言う言葉を用いずに「代替療法(alternative therapy)」としたのは,ここで言う療法は科学的に証明された医療(medicine)に必ずしも代わりうる方法とならず,誤解を避けるためである.
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