特集 地域保健法10年
地域保健法を支える現場から①―保健所医師の立場から
国吉 秀樹
1
1沖縄県中部福祉保健所健康推進課
pp.110-113
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100022
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沖縄県では,平成9年度に保健所の組織改編が行われ(図1),総務課に企画情報班が設置された.これには保健所機能としての「情報の収集・整理・活用」「広域的な調整」「専門的技術的機能」等が強化されるための中核を作ることが意図されており,地域保健法施行体制の実質的なスタートの年となった.また同時に,長く地域保健活動の柱であった県の保健婦駐在制がその役割を終えて,市町村保健師中心の活動に大きく舵を取った年でもあり,保健サービス提供の大きな変換点として,本県において特に記憶されるべきである.
この年を中心に,①平成5年頃からの地域保健法施行準備の時期,②平成9年頃からの法完全施行後,保健所機能強化の模索の時期,③平成13年頃からの保健所機能のイメージが安定してきた時期,のように,保健所あるいは筆者の保健所医師としてのアイデンティティを探索した段階に沿って,今改めてできたこと,できなかったことを考察してみたい.この10年間の経過の中でも,その時その地域での健康課題は暇なく出現した.また,保健所の備えるべき「専門的技術的機能」としては,疾病コントロール等,健康危機管理分野が当然重要だが,本稿では地域保健法全面施行後,常に意識してきた県型保健所と市町村の関係性に注目して論を進める.
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