連載 命をつなぐ災害復興法学 被災者を支えるお金とくらしの話・8【最終回】
公衆衛生看護の教育に求められる視点—生活復興を基本としたウェルビーイングの支援を
岡本 正
1
1銀座パートナーズ法律事務所
pp.420-426
発行日 2025年10月10日
Published Date 2025/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134883330810050420
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公衆衛生および災害看護と生活復興の理念
公衆衛生(Public Health)の定義をあらためて確認してみましょう。世界保健機関(WHO)によれば、公衆衛生とは「共同社会の組織的な努力を通じて、疾病を予防し、寿命を延長し、身体的・精神的健康と能率の増進をはかる科学・技術である」とされています。すなわち、いかなるときにも、人としての尊厳と健康が守られるための、あらゆる専門的活動を指すものです。
大規模な災害は、生命・人権・健康・尊厳などが一度に奪われる深刻な社会的事象であり、それに立ち向かう分野の一つが「災害看護」(Disaster Nursing)です。その災害看護とは、日本災害看護学会1)によって次のように定義されています。

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