特集 飛ぶ無痛Caféコラボ!無痛分娩のアクティブバース 動ける麻酔と動かす助産
アロマテラピーを用いた産痛緩和—脊髄幹鎮痛との相性は?
日向 俊輔
1
1北里大学病院周産母子成育医療センター産科麻酔部門
pp.483-488
発行日 2025年12月25日
Published Date 2025/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134781680790060483
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
アロマテラピーを分娩に取り入れている?
みなさんは,分娩にアロマテラピーを取り入れているだろうか。アロマテラピーは古くから非薬理学的な鎮痛法として知られており,鎮痛目的だけでなくリラクゼーションの1つとして取り入れている場合もあるかもしれない。分娩は生理的現象であるという見方もある一方,強い産痛と分娩に伴う不安や恐怖は母体・胎児のストレス反応を増大させ,分娩経過の遷延や児のアプガースコア低下につながるという報告もある1,2)。また,硬膜外鎮痛や帝王切開での麻酔によって完全な鎮痛を達成しても,必ずしも産婦の精神的満足度が高いとは限らないことをしばしば経験する。脊髄幹鎮痛による強力な鎮痛をもってしても,産婦の内面まで癒すことは難しい場合があるのである。そのような場合には,アロマテラピーのような非薬理学的な補完療法が必要となる可能性がある。2025年時点で日本国内の助産院・産科施設の約3割が何らかの形で精油を導入しているとの報告もある3)。

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.

