特集 飛ぶ無痛Caféコラボ!無痛分娩のアクティブバース 動ける麻酔と動かす助産
体位保持・体位変換ができる無痛分娩のポイント
野口 翔平
1
1埼玉医科大学総合医療センター産科麻酔科
pp.477-482
発行日 2025年12月25日
Published Date 2025/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134781680790060477
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そもそもなぜ,無痛分娩では歩けないのか?
「無痛分娩では歩けない」この事実は,無痛分娩に関わっている方は知っているし,無痛分娩に馴染みがない方は「そうなの?」と驚かれるかもしれない。無痛分娩において歩行が困難な理由は,その穿刺位置にある。硬膜外鎮痛のカテーテルは通常,第3/4腰椎間から挿入し[図1]のように鎮痛効果を広げていく。陣痛による子宮の痛みは第10胸椎〜第1腰椎から出る神経によって伝えられ,分娩第2期の子宮頸部・腟と会陰部の痛みは仙髄から出る神経によって伝えられるため,第10胸椎と仙髄の中間である第3/4腰椎間から薬液を広げるわけである。ここで気が付くのは,第2〜5腰椎から出る神経は必然的に麻酔薬が効いてしまう,ということである。第2〜5腰椎の神経がつかさどるのは下肢であり,ゆえに無痛分娩では歩くことが難しいということにつながるのである。

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