特集 産む人と家族の選択肢を増やす 「女性のための妊娠・出産のガイドライン」臨床での活用
Q2 出産時に会陰が裂けて傷ができることを防ぐために,妊娠中からできる効果的な方法はありますか?
福澤 利江子
1
1長野県看護大学発達看護学講座母性・助産看護学
pp.200-205
発行日 2025年6月25日
Published Date 2025/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134781680790030200
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Answer
健康な妊婦さんが,「会陰マッサージ」や「骨盤底筋トレーニング」を定期的に行うと,行わない場合に比べて,出産時の会陰の傷ができにくくなる可能性があります。骨盤底筋トレーニングは尿失禁予防の効果も期待されます。会陰マッサージも骨盤底筋トレーニングも,妊婦さんが自宅で日常的に行えるよう,分かりやすい説明が求められます。
留意点として,特に会陰マッサージに対する女性の価値観や希望は多様です。また,産後の尿失禁が起こるリスクも個人差があります。全ての妊婦さんに一律にお勧めするのではなく,一人一人の意向を確認し,個別的な判断や対応が望ましいでしょう。さらに,会陰マッサージも骨盤底筋トレーニングも,会陰裂傷予防の効果を保証するエビデンスはまだ十分なものではなく,マッサージやトレーニングの方法も,科学的に立証された最も効果の高い方法の詳細は確立していません。今後の研究の発達により考え方が変わる可能性があります。

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