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わが国は今年,いわゆる団塊の世代の人々がすべて75歳以上の後期高齢者となる.これは2025年問題ともいわれ,医療・介護の需要の増加とそれに伴う人材不足,独居高齢者や認知症高齢者の増加,老老介護の常態化など,従来の社会システムでは対応困難な課題が顕在化している.世界に目を向ければ,高齢化は世界規模で進んでいる.とくにアジア諸国における高齢化率の上昇は顕著であり,一部の国々は日本を上回る勢いで高齢化が進んでいる.
このような状況下,現代社会は「VUCAの時代」といわれて久しい.VUCAとは,変動性(Volatility),不確実性(Uncertainty),複雑性(Complexity),曖昧性(Ambiguity)の頭文字で,現代社会の不安定性や予測困難性を表す概念である.この概念は,不安定な環境の意味をしっかりと理解し,これらの課題を低減するための戦略を知ることが,よりよい決断と結果につながるということも包含する.このVUCAの概念がさまざまな分野で活用されるなか,ハーバード大学のGeorge博士は,急速に変化する環境下でVUCA時代へ対応するために,「VUCA 2.0」を提唱した.これは変化の激しい現代社会において,私達が柔軟かつ効果的に対応するためのフレームワークである.このVUCA2.0の頭文字は,展望(Vision),理解(Understanding),勇気(Courage),適応性(Adaptability)である.展望(Vision)は変動性(Volatility)に対して明確な方向性をもつこと,理解(Understanding)は不確実性(Uncertainty)に対して状況を理解し深い洞察を行うこと,勇気(Courage)は複雑性(Complexity)に対して意欲的・能動的に立ち向かうこと,適応性(Adaptability)は曖昧性(Ambiguity)に対して柔軟に対応することを示す.これはVUCA環境に対する戦略的リーダーシップ・アプローチとして提唱されたが,予測できない時代に能動的かつ前向きに対応するフレームワークとしてさまざまな分野に応用可能と考える.
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