特別記事
「反」から「半」へ—当事者研究という静かな革命
松本 卓也
1
1京都大学大学院人間・環境学研究科
pp.234-241
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134327610280030234
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近年、精神疾患について語るときに、「当事者」の視点が欠かせないものとされるようになった。「当事者のニーズを中心とした研究テーマ設定を当事者と研究者で共同創造する」ことの重要性を謳う提言が、日本精神神経学会をはじめとする主要な学会の連名で出されるまでになった。つまり、研究は当事者のニーズに沿うものでなければならないし、そこで言われている当事者のニーズは研究者が一方的に決めていいものではなく、当事者とともに創り出されなければならないというのである。
このような動きの原動力のひとつとなったのが、べてるの家の当事者研究であることは間違いない。

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