連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・70
訪問者の静かな後押し
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Clinic
pp.96-97
発行日 2010年1月25日
Published Date 2010/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101594
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貧血でやせこけたジェイ
「この子,だめかもしれない」。すっかりやせこけているジェイの赤ちゃんを抱いた私は,強い不安にとらわれた。産後3週間の児は,どう見ても生まれた時より明らかにやせ細っていた。
ピンク街が表通りにあり,その裏にはいくつもの入り組んだ路地が絡んでいる。この辺りに住む人は地方から仕事を求めて流れてきた人が多い。仕事がある,食べていける,そんな噂を頼りに地方から身体ひとつで流れてくる貧しい家族。結局,学歴もコネもない彼らは噂に翻弄されただけで,まともな仕事にはたいていありつけない。家族を食べさせるために若い女性は夜の世界を選び,年配の女性は多少お金のある家の洗濯などをわずかな手当で請け負う。
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