明日の検査技師に望む
美しき流れの源をみつめよう
吉田 浩
1
1福島県立医科大学検査部
pp.980
発行日 1992年11月1日
Published Date 1992/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901316
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「美しき流れのみなもと(源)をみつめて…」.King ofJipang信長がNHKテレビドラマの中で何度か語らせられている.信長のイメージが一変した人も多いだろう.なかなか良い表現である.いずれの世界にも源があり,流れがあるが,医療における美しき流れの源は,考えるまでもなく人の命である.私事になるが,内科学教室に21年間在籍し,検査部に移って早くも7年目に入るが,どっぷりとつかってしまうと美しき流れの源がだんだん遠くなってしまいそうである.大学病院という特殊な職場かもしれないが,患者に対し直接の責任を持たない(持たせられない)ことは精神的には楽である.大学病院では教育,診療,研究を行っているが,病院での最大使命は患者の命を守る診療でなければならない……が,現実はどうであろうか.臨床教室でも基礎研究に多くの時間を費さなければならないのがわが国の伝統的風潮で,それらの成果のほうがより高く評価されている.
検査部職員の最も重要な仕事は正確なデータを出すことである.正確なデータとは被検者の体内の状態を直接示すものでなければならない.そのため,TQCの重要性が論じられてきているが,現実は,多くの問題がある.検査部では検体を受け取ったときから責任を持ち,たとえそれらが不適当な検体でもベストを尽くしているというのが現状であろう.
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