徹底分析シリーズ ロボット手術2nd Phase
巻頭言
古賀 聡人
1
1兵庫県立西宮病院 麻酔科
pp.1165
発行日 2025年12月1日
Published Date 2025/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320121165
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- 文献概要
2018年8月号で徹底分析シリーズ『ダヴィンチ手術の現在地』が企画されてから7年が経過し,ロボット支援下手術(RAS)を取り巻く日本の環境は大きく変化した。da Vinciに新機種が投入される一方,他メーカーの参入も相次いでいる。各領域のエビデンスが蓄積され,診療報酬改定のたびに新たな術式が追加された。複数の診療科が手術ロボットを取り合うため,複数台の手術ロボットを保有している病院も少なくない。手術ロボットがないと外来医のリクルートに影響があるともいわれている。もはや限られた病院の話ではなくなった。
本企画のきっかけは,2年前筆者が経営大学院在学中のフィールドワークで訪問先の病院に手術ロボットの導入を提言したことに遡る。その際の事務長の返答は「各メーカーが出揃うまで見極めているところ」であった。あれから2年が経ち,機は熟した。各機器の特性や収支バランスを見極め,自施設に合う手術ロボットを導入してほしい。
今回は,あまたの術式から麻酔管理に特に難渋しがちな胸部手術にフォーカスし,先進的な施設から麻酔科医だけでなく外科医にもご寄稿いただいた。本特集をもとに各施設で日々,改善に努めている管理方法をより洗練させてもらいたい。
RASは従来と比べて少人数での手術が可能なことや遠隔医療への応用が可能なことから,外科医の働き方や医師の偏在を解決する可能性がある。一方,高額である以上,病院経営の視点,医療経済の視点も忘れてはいけない。いま一度,手術ロボットとの向き合い方を考えてみてほしい。
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