徹底分析シリーズ アナフィラキシーを再考する
見落としやすいアレルゲンによるアナフィラキシー—血液製剤と消毒薬について
天野 靖大
1
Yasuhiro AMANO
1
1名古屋大学医学部附属病院 麻酔科
pp.906-910
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320090906
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各国で実施されている周術期アナフィラキシーの疫学調査では,多くの国において筋弛緩薬や抗菌薬が主要な原因物質として報告されており1),日本ではスガマデクスによるアナフィラキシーも多い2)。これらの薬物はすべて静脈注射薬であり,通常は麻酔記録に記載されるため,被疑薬として見落とされることはなく,また保険診療で行える皮膚テストをはじめ原因検査の知見に富む。一方で,臨床的には原因物質として疑われながらも,検査手法に乏しく確定診断に至らず“学術的に”まれな原因とされるものや,麻酔記録に記載されないことから被疑薬として認識されず,原因として見落とされやすい薬物も存在する。
本稿ではこうした確定診断が困難,または原因として見落とされやすい血液製剤と消毒薬によるアナフィラキシーの疫学,特殊性,原因検査について解説する。

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