徹底分析シリーズ 吸入麻酔と静脈麻酔 どっちを選ぶ?
MEPを用いる脊椎・脊髄手術—麻酔管理の幅を広げる
福岡 尚和
1
Naokazu FUKUOKA
1
1公立学校共済組合 東海中央病院 麻酔科
pp.382-385
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320040382
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全身麻酔中に神経障害が起きたとき,患者自身からそれを聞き取ることはできない。運動誘発電位motor evoked potentials(MEP)モニタリングは運動神経障害,虚血を早期に発見し,不可逆的な神経損傷を回避・軽減するために重要な術中神経モニタリングの一つである。一方,MEPは全身麻酔の影響を非常に受けやすい。MEPモニタリング時の麻酔管理のゴールドスタンダードは,プロポフォールとオピオイド(レミフェンタニル,フェンタニル)による全静脈麻酔total intravenous anesthesia(TIVA)とされる。これはMEP導出が吸入麻酔と比べて容易なことが理由である。しかし,脊椎・脊髄手術では刺激強度をより高くすることが可能なことから,吸入麻酔薬でのMEPモニタリングは可能である。MEPモニタリングを知り,症例に応じて吸入麻酔薬をうまく使用すれば,麻酔管理の幅もおのずと広がってくる。

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