連載 ウェルビーイングが導く患者中心の医療の未来・8
行政はウェルビーイングにどう取り組むか—「幸せ人口1000万」を目指して
佐渡 洋伸
1
,
清水 幸裕
2,3
,
前野 マドカ
4
,
秋山 美紀
5
1富山県知事政策局企画室ウェルビーイング推進課
2特定医療法人財団五省会 西能病院 内科
3前南砺市民病院
4EVOL株式会社
5慶應義塾大学環境情報学部
pp.1084-1088
発行日 2025年12月10日
Published Date 2025/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091713550350121084
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富山県におけるウェルビーイングの位置づけ
富山県の人口はピーク時に112万人を超えていましたが,2018年以降,男女ともに県外への転出超過が続いており,特に若い女性の転出超過が顕著となっています。
このような状況から,自治体としての持続可能性が危ぶまれ,さまざまな議論が行われる中,新田八朗知事は「新しい未来とさらなる発展を目指す」として,2022年2月に「富山県成長戦略」を策定しました。戦略の中核に「ウェルビーイング(well-being;心も身体も社会的にも満たされた状態,実感としての幸せなどを表す言葉)」を据え,「幸せ人口1000万〜ウェルビーイング先進地域,富山〜」をビジョンに掲げています。ウェルビーイングを中核に据える富山県成長戦略は,社会情勢が大きく変化する中でスピード感を持って,重点的に取り組むべき新たな課題に対応するための,総合計画を補完するものとして位置づけられています。本県の人口は現在100万人弱ですが,ウェルビーイングの向上により本県の魅力を高めることで,人の出入りそのものを活性化し,その結果,多様な人材が本県に引き寄せられ,集積していく。それが,移住や企業誘致,創業などの増加につながり,県内の活性化に寄与し,ウェルビーイングの向上と経済成長が好循環することを目指しています。

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