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はじめに
スパイダースプリントとは,橈骨神経麻痺等で生じる下垂手(指)に対する伸展補助を目的としたスプリントである.近年,対象疾患の適応が広がり,脳卒中麻痺手の把持練習の補助としても使用されている.やさき1)はスパイダースプリントで使用するピアノ線を形状記憶合金(shape memory alloy:SMA)に換えた,new spider “Musashi”(以下,Musashi)を報告した.使用したSMA(吉見製作所製.2025年3月現在,1m 2本入り 1,727円〜)は直線で形状記憶され,従来のピアノ線に比べヤング率(縦弾性係数)が2〜3倍低く,弱い力でしならせ曲げることが可能で,把持の妨げになりにくい.さらに曲がり癖がつきにくく,ピアノ線の10〜20倍の耐久性がある.
このSMAで作製されたMusashiはユニバーサル型のスプリントデザインで,長さ240〜260mm,直径0.6〜1.0mmのSMAを使用し,痙縮や末梢神経麻痺等の伸展不全に応じた手指伸展補助を可能とした(図 1).欠点は,さまざまな手に対応するユニバーサルデザインではあるものの,使用するSMAはすべて同一の太さで,スプリント材に固定されて取り替えができないため,SMAの本数や直径の自由な調整が困難なことであった.しかし,臨床では,伸展不全や痙性麻痺による手指屈曲肢位は決して均一ではなく,指別でも異なることを経験する.そのため,対象となる指数に合わせたSMAの本数の設定や,指別でSMAの太さを設定することが可能であれば,よりアプローチの幅が広がるのではないかと考えた.
そこでわれわれは,3Dプリンタを用いたスパイダースプリント“やさき”(以下,“やさき”)の開発に至ったので報告する.本スプリントの命名については,矢﨑 潔氏の御家族様より快諾を得ている.
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