北九州医療刑務所における作業療法の現状と課題

The current state and issues of occupational therapy at Kitakyushu Medical Prison

Key Questions

Q1：精神障害のある受刑者の現状とは？

Q2：医療刑務所における作業療法士の実践と多職種連携とは？

Q3：医療刑務所に求められる役割は？

北九州医療刑務所の概要

　医療刑務所とは，専門的な医療や看護を必要とする受刑者を収容し，治療を行うことを目的とした医療専門施設である．統合失調症や薬物依存症，摂食障害等，一般の刑務所では対応が困難な疾患を抱える受刑者が主に収容されている．

　北九州医療刑務所（以下，当所）では，2005年（平成17年）に初めて非常勤の作業療法士が配置された．その後，刑務所内にデイケアが創設されたことに伴い，企画部門から医療部への所属変更等，体制の見直しが行われた．しかし非常勤枠は継続的に確保され，2019年（令和元年）には常勤枠へと変更された．これらの経緯を踏まえ，当所は他の刑務所と比べて，作業療法士が医療職として勤務することに対して受け入れられやすい状況があった．