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第19回作業療法ジャーナル研究助成・研究経過報告
阿瀬 寛幸
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1順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター
pp.1140
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590101140
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現在,共同研究者である櫻井卓郎氏(国立がん研究センター中央病院,作業療法士)と関原雛子氏(筑波大学大学院人間総合化学学術院,作業療法士)と共に,定期的にミーティングを行いながら,研究を進めております.進捗としましては,全国のがん診療連携拠点病院461施設の作業療法士の方々に郵送にてアンケートのお願いを致しました.結果,300名近くの方々からご回答をいただき,大変貴重なご経験を共有いただきました.本研究にご協力いただいた皆様に,あらためて深く感謝申し上げます.
アンケートの結果は,第30回日本緩和医療学会学術集会で報告をし,優秀演題として採択いただきました.発表後も,医師や看護師,社会福祉士等,多くの方々からお声がけをいただき,関心の高さを感じました.同時に,全国の作業療法士の方々が,完全な就労復帰が困難となる進行した病状においても,対象者一人ひとりの多様な思いを丁寧に汲み取り,工夫を凝らしながら「働くことの意味」に寄与する時間を共有していることが明らかになりました.嬉しさとともに,こうした貴重な実践の実態を,責任をもって学術的に報告していく必要性を強く感じました.一方,病状の悪化や制度的な制約によって目標達成が困難となり,支援の限界に直面している作業療法士も多く,完全な正解というものがない中で,どのように展開していくべきか,さらに考えていきたいと思います.

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