増刊号 就学・就労支援
第3部 はたらく:就労
第3章 作業療法に係る就労支援の課題と展望
想い,つながり,社会をひらく
仲地 宗幸
1,2
Muneyuki Nakachi
1,2
1合同会社キングコング
2就労継続支援B型事業所Cotori
pp.958-961
発行日 2025年7月20日
Published Date 2025/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590080958
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あちら側とこちら側が入れ替わる
「もう健常者とは仕事をしたくありません」と目を真っ赤にして当時18歳の従業員ミズキ(仮名)が泣きながら私に言った言葉が忘れられない.
私が以前役員をしていた焼肉屋での1コマだ.時は2012年(平成24年),沖縄県の中部に位置する沖縄市泡瀬にある焼肉バイキングの店「キングコング」は経営難が続いていた.大通りから離れ,立地が悪いうえに,焼肉バイキングという古い業態の店は地元の客からも少しずつ忘れられようとしていた.この苦しい状況で父親から代替わりで就任した2代目社長は,「これからの飲食店は客も従業員も大切にできなければ成り立たない」と障害者雇用を始めることを決意する.焼肉キングコングでその取り組みが始まろうとしているとき,中心的従業員だったミズキは強く反対し,その影響力はかなり大きかった.社長自ら何回も説明と説得を繰り返し,現場の合意を取り付けて障害者雇用は始まった.

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