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2025年3月6〜8日の3日間にわたって開催されたSTROKE2025は,脳卒中医学・脳卒中医療の国内最大のイベントといわれ,第50回日本脳卒中学会学術集会,第54回日本脳卒中の外科学会学術集会,第41回SAH/スパズム・シンポジウムの3学会の合同学会であった.医師をはじめ,作業療法士や理学療法士等のリハビリテーション関連のスタッフ,看護師等,さまざまな職種の人々が参加しており,脳卒中学会関連だけで一般口演が100セッション,20のシンポジウム等かなり大規模な学会で,リハビリテーション関連では立ち見が出るセッションもあり,大変盛況であった.私は学生時代に作業療法学を専攻し,作業療法士の資格を取得したものの,現在は会社員として主に近赤外分光法を用いた生体計測装置による生体組織の酸素動態に関する研究や開発に取り組んでいる.そこで,脳卒中や脳の循環代謝,リハビリテーションに関する最新情報を得るとともに,弊社装置の新たな応用に関するヒントも得たいと思い,本学会に参加した.
最近のトレンドの反映として,AI関連やICT,VR(Virtual Reality:仮想現実)やロボットを用いたリハビリテーション等,デジタルヘルスに関する発表が多くみられた.また昨今,心房細動等がリスク要因となる心原性脳梗塞に対する関心の高まり(「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中,心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が2018年に成立,2019年に施行された)もあり,循環器病と脳卒中に関連する発表,講演も多かった.ある病院ではブレインハートチームという組織があり,脳卒中医と循環器医が連携をとり,チームとして患者さんの治療に当たるとのことで,リハビリテーションにおけるチーム医療が想起された.「他組織連携」や「つなぐ」は,今後の医療にとって重要なキーワードになると感じられた.これまでも特にリハビリテーションの領域では,多職種の連携はとても重要で実践されてきているが,今回の発表の中で退院後のフォローが十分でない場合があることや失語症が社会復帰を難しくする大きな要因となっていること等を認識し,病院から在宅へのつなぎ,作業療法士と言語聴覚士との連携による社会復帰の促進等も重要ではないかと思われた.私の現在の仕事的視点からは,簡易で非侵襲な光技術に関して,たとえば在宅での脳卒中患者さんの状態モニターとして,あるいは災害時の避難所での健康管理,疾病のスクリーニングへの応用,脳卒中の画像診断の補足的な使用,安全にリハビリテーションを行うための患者さんのモニター等,さまざまな場面への展開の可能性を見いだすことができた.
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