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特集 地域で子どもたちを支える—「参加」を支援すること
子どもの参加を支援する自助具を目指して—デザイナーと作業療法士が共創する3Dプリンタプロジェクト
Co-creating assistive devices to support children's participation: a 3D printing project by designers and occupational therapists
田中 啓規
1
,
住本 佑介
2
,
石代 敏拓
3
,
堂元 鈴子
1
Hiroki Tanaka
1
,
Yusuke Sumimoto
2
,
Toshihiro Ishidai
3
,
Suzuko Domoto
1
1特定非営利活動法人そいる
2SEDIE DESIGN
3群馬パース大学
pp.563-567
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590060563
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Key Questions
Q1:子どもの参加を自助具によって促すことができるのか?
Q2:3Dプリンタは,子どもの参加を促す作業療法の中でどのように活用できるのか?
Q3:子どもの参加支援において,デザイナーと作業療法士の協働はどのように有効なのか?
はじめに
対象者が地域でその人らしい生活を送れるよう支援することは,作業療法士の重要な役割の一つである.その実現手段として,環境調整や自助具の作製が行われてきた1).近年,これらの手段の一つとしてアシスティブテクノロジー(assistive technology:AT)の活用が注目されており,特に3Dプリンタは多様な場面での活用が増えている2,3).林2)は,ICTの活用を含むものづくり「デジタルファブリケーション」を作業療法に応用する中で,3Dプリンタの有用性について述べている.
しかし,ATの活用には,2つの視点からの困難さが報告されている.1つはATを活用する側の課題,もう1つはATを活用する場面の課題である.ATを活用する側の課題とは,3Dプリンタをはじめとする新しい技術を使用する際の障壁の高さである3).一方,ATを活用する場面の課題とは,生活場面での使用のされにくさである4).要因としては,ユーザーとの適合性,選択への関与度,性能面での限界,能力の変化,美観の欠如等が指摘されている4).
これらの課題を解決し,子どもと家族の参加を支援するため,作業療法士とデザイナーが協働する「やりたい.できた.ラボ」を立ち上げた.本稿では,子どもの参加を支援する方法の一つとして,3Dプリンタを用いた自助具の作製やデザイナーとの協働について述べる.

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