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Key Questions
Q1:アフターコロナでコミュニティー・シェッドは健康にどう貢献するか?
Q2:作業療法士はつながりをどう構築できるか?
Q3:コミュニティー・シェッドを持続可能にするための課題は?
はじめに
新型コロナウイルス感染症の世界的流行は,人類がいとも簡単に他者とのつながりや生きがいを失い,健康や幸福が失われるという事実をわれわれに突きつけるものであった1〜3).特に高齢者では,日常生活に大きな支障を感じることは少なかった一方で,“不要不急”とされた社会活動が縮小し,価値のある作業の喪失が長期的な健康や幸福に影響を及ぼすことが懸念された4).こうした状況の中,生きがいの喪失を防ぎ,再び社会とつながるための場が求められている.
その一つの解決策として,近年「コミュニティー・シェッド(Community Shed)」(以下,シェッド)が世界的に注目されている.「肩を並べて作業することで,人は新たなつながりと生きがいを見いだす」.これはシェッドの基本的な理念であり,シェッドは高齢者が仲間と共に活動し,多様なつながりや生きがいを育む新たな居場所となる.
1990年代前半に南オーストラリア州の片田舎で誕生したシェッド(英語で「小屋」を意味する)は,現在では世界3,000カ所以上に広がり,英国やアイルランド等でも急速に拡大している.世界的にみると,高齢男性向けの「メンズ・シェッド(Men's shed)」が多数を占めるが,女性主体の「ウィメンズ・シェッド(Women's shed)」や,老若男女問わず多様な人々が参加する狭義の「コミュニティー・シェッド」も存在する.シェッドの運営にあたり,専門家や支援者の関与は最小限であり,メンバー自身が主体的に活動することで生きがいを高める仕組みとなっている.
各国のシェッド協会がスローガンとして掲げている「肩を並べて(Shoulder to shoulder)」は,シェッド研究の第一人者Barry Golding栄誉教授(オーストラリア,フェデレーション大学)が用いたものであり5),シェッドの特徴と作業療法との親和性を端的に表している.すなわち,「肩を並べて作業することで,新たなつながりや生きがいが生まれ,それが健康と幸福につながる」という考え方である.作業を通して「人々の健康と幸福」を支援する立場にある作業療法士にとって,シェッドは新たな可能性を切り拓く場となり得る.本稿では,日本国内でのシェッドの展開を具体例とともに紹介し,作業療法のポテンシャル,そして作業療法士がこの新しいフィールドでどのように活躍できるかを考察する.

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