Close-up 切断断端の管理—下肢切断術後の断端管理〜慢性的な断端変化
義足歩行獲得までの段階的プロセス
只津 美紀
1
Miki TADATSU
1
1兵庫県立リハビリテーション中央病院リハビリ療法部
キーワード:
ソケット適合
,
義足歩行練習
,
断端トラブル
,
自己管理
Keyword:
ソケット適合
,
義足歩行練習
,
断端トラブル
,
自己管理
pp.835-838
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590070835
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
断端とソケット
ソケットは体重支持,力の伝達,自己懸垂といった重要な役割を担っており,断端との良好な適合を保つことは義足を使用するうえで必要不可欠である.ソケットの適合不良や装着方法が不適切な場合,骨突出部や体重支持部に創や水疱が発生しやすく,適切な処置を行わないと,創が悪化して義足装着を中止せざるを得なくなる.特に糖尿病を合併している場合は,創からの感染リスクが高いため注意が必要である.義足装着の中止は,立位でのADLやinstrumental ADL(IADL)を制限し,活動性やQOLにも影響を及ぼす.実際,下肢切断者の30〜41%1〜4)が断端の皮膚トラブルを有しており,断端の皮膚トラブルが家事動作や仕事に悪影響を及ぼすことも報告5)されている.
下腿切断の場合,切断端の軟部組織量が少ないうえに骨突出部が多く,ソケットの体重支持部が水平に得られないことから,断端部に剪断力が加わり,皮膚トラブルを生じやすい.また,高齢者の皮膚は弾力性や保護作用,抵抗力が低下しており,創を形成しやすいため注意が必要である.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.