Close-up 介護報酬の仕組み
自立支援・重度化予防に向けた対応
井上 達朗
1
Tatsuro INOUE
1
1新潟医療福祉大学リハビリテーション学部理学療法学科
キーワード:
栄養
,
口腔管理
,
三位一体
Keyword:
栄養
,
口腔管理
,
三位一体
pp.340-344
発行日 2025年3月15日
Published Date 2025/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590030340
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はじめに
2024(令和6)年度の介護報酬改定では,基本的な視点の1つとして「自立支援・重度化防止に向けた対応」が策定され1),多職種連携やデータ活用を通じた要介護高齢者の自立支援・重度化防止のさらなる推進が強調されている.この視点に基づく改定項目のなかでも特に重要となるのが,「リハビリテーション・個別機能訓練,栄養,口腔の実施及び一体的取組」2)である.これまで個別に発展してきたリハビリテーション,栄養療法,口腔管理が,「高齢者支援」という共通の目標のもとで一体的に実施される(図1)3)ことをめざしており,この取り組みが介護報酬で評価された意義はきわめて大きい.このいわゆる「三位一体」の実践は,前回2021(令和3)年度の介護報酬改定でも掲げられた内容であるが,今回は実装をめざしてより踏み込んだ改定が行われた.2024(令和6)年度の介護報酬改定を契機に,この取り組みが介護現場でさらに進展することが期待されている.
また,2024(令和6)年度の診療報酬改定においても,急性期のリハビリテーション・栄養・口腔の三位一体が評価されたことを忘れてはならない.生活期での「自立支援型介護」をめざすなかで,対象者が医療を受けている段階から,医療介護従事者と対象者・家族の双方が,治療とケアのなかで,三位一体の切れ目のない実践の重要性を理解し,連携する必要がある.
本稿では,生活期の「リハビリテーション・個別機能訓練,栄養,口腔の実施及び一体的取組」を中心に,その考え方の背景に加え,どのように理学療法士がかかわるかを含めて解説する.

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