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はじめに
骨盤輪骨折に対しては従来,創外固定・経皮的スクリュー固定・プレート固定などさまざまな手術が行われてきており,その発展には外傷外科医や股関節外科医が多大な貢献をしてきた.脊椎インストゥルメンテーションを用いた手術に関してもこれまで報告があったが,近年では経皮的椎弓根スクリューや小皮切腸骨スクリューなどを用いた,より低侵襲な固定方法が考案され,急速に普及してきている.骨盤輪骨折に対する脊椎インストゥルメンテーションを用いた手術としては,後方法では腸骨同士を連結するtrans-iliac rod fixation(TIRF)6)や,腰椎-骨盤固定である低侵襲Galveston法4)およびcrab-shaped fixation(CSF)9)が挙げられる.一方,前方法としてはminimally invasive anterior pelvic internal fixator(INFIX)19)が挙げられる(図 1).INFIXは左右の下前腸骨棘から刺入した腸骨スクリューを皮下に通したロッドで連結する固定法であり,2012年にVaidyaら19)が初めて報告した.これは,low route法の創外固定のconstructをすべて創内に設置することにより,創外固定の低侵襲性を保ちながら,創外固定における術後のADL制限,術後管理の煩雑さやピン刺入部感染という欠点を克服した骨盤輪前方の固定法である.骨盤輪前方の固定であるため,骨盤輪後方の固定と併用されることが多い.INFIXは高エネルギー外傷に伴う骨盤輪骨折において,その有用性が多く報告されている1,5)が,高齢者の低エネルギー外傷に対象を限定した報告は渉猟し得た限りこれまでにはない.
高齢者の低エネルギー外傷による骨盤輪骨折である脆弱性骨盤輪骨折(fragility fracture of the pelvis:FFP)は,近年,高齢化とともに日常診療で遭遇する機会が増加している.症状が腰殿部痛であり,脊椎外科医が初療医になることも多いことや,脊椎インストゥルメンテーションによる骨盤輪骨折手術が普及していることから,脊椎外科医が本外傷の治療を行う機会も増加してきていると思われる.そこで,本稿ではRommensら12)が提唱したFFPの分類と治療の基本方針を理解したうえで,FFPに対する脊椎インストゥルメンテーション手術,特にINFIXの役割についての私見を述べる.

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