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はじめに
超高齢社会の本邦において高齢者医療の充実は喫緊の課題である.骨粗鬆症性脊椎椎体骨折(osteoporotic vertebral fracture:OVF)は,高齢者における最も頻度が高い脆弱性骨折である16,17).2025年に改訂された『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版』17)では,わが国の骨粗鬆症の有病者数は1,590万人とされ,2015年版16)の1,280万人よりも増加しており,OVFの頻度もさらなる増加が危惧される.OVFは60代後半〜70代にかけて高頻度に発生し,80歳以上の女性の有病率は60%以上とされる6,16,17).ほとんどのOVFは椎体高の減少を伴うものの骨癒合が得られ,疼痛も軽快して治癒という形となるが,一部の例に痛みの遺残が認められる.その原因として骨癒合不全や,遷延治癒・偽関節が挙げられ,さらには遅発性神経麻痺の発症や成人脊柱変形に至る例もある.偽関節や後弯変形をきたすOVFでは,QOLが著しく低下して要介護状態の大きな要因ともなっている16,17,23).一度椎体骨折を生じると,ドミノ式に複数椎体骨折につながる二次骨折を引き起こしやすく6,16,17,23),さらには骨折椎体数が増えると死亡率も増加するという報告もなされている5).われわれ整形外科医,脊椎外科医にとって「OVFをいかに受傷前の形に整えて骨癒合させるか」が大きな課題であり,骨折の早期診断とそれに伴う初期治療の重要性が挙げられると考える.
急性期OVFの保存療法には,安静臥床,薬物療法,運動療法とともに装具治療がある.受傷後,神経症状がなければ装具治療が第一選択となる.受傷直後の疼痛は,安静臥床と局所の外固定(装具治療)により経時的に軽減し,受傷後1年時には8〜9割の患者において疼痛が軽減し受傷前のQOL・ADLを獲得することが可能とされてきた12,16,23).すなわち,疼痛症状のみ,あるいは局所骨折症状のみの状態で症状進行を留められるかについて,装具での保存療法が初期治療において非常に重要な役割を担うといえる.装具治療(brace/orthosis)は,①屈曲制限を中心とした骨折部の機械的安定化,②疼痛軽減と筋スパズムの抑制,③早期離床・歩行再開の支援,④姿勢保持と二次的な後弯進行抑制を目的に急性期のOVFに対して広く用いられる.慢性期および陳旧例のOVFに対しても脊柱変形遺残に対して姿勢保持や腰背筋の負担軽減を目的に装具が用いられることもある.本邦での全国アンケート調査においても約90%の施設で何らかの外固定が行われていた7).
本稿では,われわれが行った全国多施設大規模ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)の研究結果9,10,13),および近年報告されているシステマティックレビューを踏まえ21),装具治療の実状を詳述する.

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