Nomade
脊椎外科ロボティクスの現状と展望—臨床医の私見
亀井 直輔
1
1宮崎大学整形外科
pp.175-176
発行日 2026年3月25日
Published Date 2026/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091444120390030175
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医療ロボティクスの普及を象徴する手術支援ロボットda Vinciは,世界で10,763台(2025年9月30日時点),日本でも2023年時点で570台超が稼働している.装置台数だけをみても,医療用ロボットはすでに臨床現場に根を下ろし始めたといえる.一方,脊椎外科における手術支援ロボットは,現状では主として椎弓根スクリュー挿入のガイダンスに用いられ,日本ではMazor X Stealth Edition(Medtronic),ExcelsiusGPS(Globus Medical),Cirq(Brainlab)の3機種が承認されている.導入台数の公表はされていないが,おそらく限られた数であり,普及はまだ緒に就いたばかりの段階と考えられる.
脊椎外科とロボティクスの相性は悪くない.私たちは術前画像に加え,術中のX線透視やCTなど多様な位置情報を手がかりに,脊椎解剖を立体的に推測しながら手術を行っている.脊椎脊髄領域ではミリ単位の誤差が神経・血管の安全に直結し,再現性の差が結果の差になり得る.ロボット支援には,術前計画に沿った軌道の再現性を高めることでリスク低減に寄与し,臨床現場のニーズに合致する面がある.それでも普及が進まない最大の要因はコストである.ここでいうコストは機器価格だけではない.保守費用,消耗品費用に加え,手術時間への影響,設置スペース,習熟のための教育コストなど,運用に伴う「みえにくいコスト」も積み上がる.
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