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整形外科手術におけるナビゲーション,ロボットなどのコンピュータ支援技術(computer assisted orthopaedic surgery:CAOS)は1990年以降,外科医のヒューマンエラーを減らし,手術の正確性を高め臨床成績を向上させることを目的に発達してきた.ナビゲーションは術前画像情報を用いないイメージレスナビゲーションと,CTやMRIを用いるイメージベースドナビゲーションに大別される.2012年に三次元画像を用いたナビゲーション手術が人工関節全置換術(股,膝,肩),人工関節再置換術(股,膝,肩),股関節周囲骨切り術,脊椎固定術などで医療保険の適用となり,2,000点の診療報酬点数が設定された.人工股関節全置換術(THA)においてCTベースドナビゲーションの導入がすすみ,良好な精度と長期成績が報告されている1).2010年代からは,THA,人工膝関節全置換術(TKA)においてカメラやセンサーの小型化,高精度化とともに,計測機能に特化し初期導入費用の削減をめざしたコンパクトナビゲーションの開発がすすんだ.いずれも画像を用いないイメージレスシステムである.慣性計測装置を用いたコンパクトナビゲーションとしてTHA用のHipAlign(OrthAlign社)とTKA用のKneeAlignが上市されている.HipAlignは2016年に薬機法承認され,KneeAlign 2が2011年に薬機法承認され本邦に導入されている.高精度カメラと独自のタグマーカーから構成されるNaviswiss Hip Navigation(Naviswiss AG社)が2018年2月にスイスではじめて臨床使用され,2019年12月に本邦で薬機法承認されている.高精度カメラと反射球トラッカーを用いたIntellijoint HIP(Intellijoint Surgical社)が2013年にカナダではじめて臨床使用され,2021年に本邦に導入されている.また,拡張現実(augmented reality:AR)技術を応用したナビゲーションの開発が試みられている.脊椎固定術における椎弓根スクリュー挿入やTHAのカップ設置ガイドに応用が試みられている.
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