整形トピックス
ロボティクスとナビゲーション
菅野 伸彦
1
1大阪大学大学院運動器医工学治療学寄附講座
pp.58-58
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_58
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1990年代後半から手術の精度を高めるためのナビゲーション(NA)やロボティクス(RA)などのコンピュータ支援手術(CAS)が臨床応用されだし,特にRAは使用数が増加傾向にあり注目されている.脊椎手術においては,CTNAにより,椎弓根スクリューの逸脱率が従来法よりも低下することが示されていたが,手術部位がトラッカーから離れれば,術前CTと体位の違いの影響もあり,レジストレーション誤差が増大することが課題であった.そこで,術中フルオロイメージを使ったNAが登場した.しかし,二次元画像のフルオロNAでは,精度的にはCTNAより劣っていた.その後Cアームを回転させたCTのような三次元画像データが取得できる術中イメージングが進歩し,フラットパネル化による高精細ワイドビジョン化により,ナビゲーション精度が高くなった.さらに,ロボティックアームで精度が一段と高くなってきている.最近のシステマティックレビューでは,脊椎手術におけるRAは,手術時間の短縮とスクリュー刺入精度向上により患者に対する安全性が高く,治療者のX線被曝量も軽減でき,費用対効果が高いとされている1,2).さらに,低侵襲経椎間孔椎間固定では,NAよりもRAのほうがX線被曝量も低く3),精度が高いと報告され4),椎体形成術やkyphoplastyにおいてもRAがX線透視法よりセメント漏れが少なく,術者被曝も低いとされている5).
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