早期発症側弯症治療の現状と最新の動向

Recent Trends and Treatments for Early-onset Scoliosis

はじめに

　早期発症側弯症（early onset scoliosis：EOS）は，発症年齢が10歳未満と定義される脊柱側弯症である．この時期は，脊柱のみならず胸郭・肺の発育が旺盛である時期に相当する．進行性の脊柱変形は体幹変形・体幹バランス不良を引き起こすだけでなく，胸郭の発達を阻害することにより胸郭不全症候群（thoracic insufficiency syndrome：TIS）を招き，最終的には呼吸機能や生命予後にも深刻な影響を及ぼし得る．

　EOSはさらに，infantile scoliosis（0〜3歳発症）とjuvenile scoliosis（4〜10歳発症）を含む概念であり，病因としては特発性，先天性（椎体形成不全や分節障害），神経筋性，症候群性など多岐にわたる．その臨床像は一様ではなく，進行速度や予後も病因に大きく依存する点が特徴である．